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第18回

ひとSTORY

田添香菜美さん

田添香菜美さん 田添香菜美さん

歌との出会いは3歳から始めた詩吟。
心洗われる歌声でカバー曲も自分色に仕上げるアーティスト。

2013年、映像作家菱川勢一氏(NTTドコモ「森の木琴」CM監督~世界三大広告賞カンヌライオンズ受賞)初監督作品、短編映画“すず”主題歌のヴォーカリストに抜擢。

今回は実力派シンガーソングライター、田添香菜美さんにインタビュー。

音楽との出会い

福岡市生まれ。母の影響で3歳から詩吟を習う。兄と共に大会に出場し、詩吟好きな年配者から可愛がられる。週に一度の習い事は父の転勤で小学校3年生で終了。そして楽器との出会いは幼稚園の時のピアノ。小学校低学年の間は続けていたが、正直言うとピアノのレッスンは心が踊らなかった。それでもピアノは唯一なんとなく弾ける楽器。

小学校時代

1年の時の担任は生徒に日々作文を書かせた。その中から毎日「一番良い作文」を選び、1年後には優秀作品の文集が完成。この習慣で言葉を綴る面白さに目覚め、その後詩を書く事に繋がっていく。 音楽は兄の影響でJPOP。TMネットワーク、小室ファミリー、安室奈美恵、スピード、ドリカムなど。中古のシングルCDを買いあさり、オリコン上位の曲を聴いてはCDのカラオケで繰り返し歌う。そう言う日々は高校時代まで続いた。

音楽活動開始

高校卒業後の進路は、音楽方面を考えた。親の反対もなかったので、迷わず福岡スクールオブミュージック専門学校(FSM)へ。入学後、本格的な音楽活動開始。

学校では洋楽ばかりを教えてもらう。洋楽をちゃんと聴いたのはこの時が初めて。サークルでは1年間ゴスペルを歌い、2年目からはオリジナル曲も作りだし、研究生で残った3年目はピアノデュオやそのバンドバージョンなど自分達で演奏し、卒業後にライブハウスなど外で活動するようになる。

バンド"巻尺"時代

'04年オリジナルバンド"巻尺"結成。Key.Vo.を担当。'07年アルバム「幸」をリリース。

'09年全国で活動後、メジャーデビューを夢見て活動拠点を東京に移す。東京で二年弱過ごした後、メンバーはそれぞれ事情があり、地元へ帰る事になった。

再び福岡へ

戻ってからはしばらくやる気が起こらず燻っていた。2年前意気揚々と旅立った手前、人に会うのも気乗りがしない。その後、縁あって色んな人から声をかけてもらい、ソロ活動開始。ライブハウスやライブバーで弾き語りをしながらコーラスやチャリティーイベントなどにも参加。

最近の活動

‘13年公開された映像作家菱川勢一氏(NTTドコモ「森の木琴」のCM監督~世界三大広告賞カンヌライオンズ受賞作品、大河ドラマ「八重の桜」のオープニング映像など)初監督作品、短編映画“すず”では主題歌を歌うヴォーカリストに抜擢。

2014年「株式会社 昭電車」の社歌を歌う。9月にソロでは初のミニアルバム「おん」発売。

自己分析

「お尻を叩かれないと動けない。“石橋を叩いて渡らないマイペース”。年始の目標は“行動力と直感力”と毎年同じ。CDも周りから、作れば?と言われながら作らなかった。基本的に面倒臭がり。でも人生の中で大きく思い立つ事が何度かあった。その1つがCD作成。やってる時は面倒臭くなく楽しい。自由に気分が乗ったらやる。乗らなかったらやらない。逆に常にストイックな人は尊敬する。歌は聴いて欲しいけど、自分はエンターティナーではない。バンドの時もセンターではなく、真ん中より少しズレた所を定位置にした。真ん中だと逃げ出したくなるし、恥ずかしい。ワンマンとかも。。。特に謙虚なワケではないが、ライバル感を出されたら逃げる。平和じゃないと嫌。争いごとがあると見ないようにする。」

音楽との関係

「歌ってる時と詞を書いてる時が自分の中で一番燃える時。書く事は自分の事や生い立ちが曲調や言葉に出るので、書く時はそこにすごくこだわっている。そして歌う事が単純に好き。伝える事重視で歌詞もシンプルに言葉が伝わるように。難しい事は書かずに、自分に正直に。ソロになってカッコつけなくなった。無理してもダメだ。自然の、素の自分でいく。そうして今は楽チンでライブもしている。いずれにしても、賛否両論。好みで意見は分かれる。だったら、正直に生きてないともったいない。しんどかった20代は勝手に色んな事にこだわっていた。25歳の自分と違って、31歳の自分では良い感じにどうでも良くなって、気分が楽になってきた。たった数年間で色んな事が変わったと思う。そして応援してくれてる人達の為にも頑張りたい。声援に応えたい。」

これから

「国内の色んな所でLIVEをしたい!いつもの場所も楽しいけど、初めての場所で初めての方に聴いてもらうのは楽しい。今夏はビアガーデンで初めて歌った事によって、普段ライブへ足を運ばない、出会えない中学生の親子やサラリーマンがCDを買ってくれたのも新鮮であり、喜びだった。これからは路上ライブもしたい!50人キャパの会場を満席に出来たらそれが幸せ。夢は自分で作った曲が映画の主題歌になる事。(短編映画“すず”の場合はカバー曲)曲を聴いて欲しい。まだまだ曲はたくさんあるので、これからもCDとして形に残していきたい。年に1枚ペースで作れたらと思っている。目標はずっと音楽活動を続けること。」

終わりに

インタビューが終わって浮かんだキーワードは「マイペースでゆっくりと」。カバー曲も香菜美色に染め、違う味わいを持たせる実力の持ち主は、音楽に対するスタンスをそう感じさせた。 詩吟で磨かれた歌声は聴いた人の心をすっと浄化する作用がある。CDを初めて聴かせた友人はライブへ行きたいと即座に言ってきた。

文:MARI OKUSU 2014.10.26掲載